店舗のDX
店長にしか
シフトが組めない
属人化は、店長の能力の問題ではありません。
紙に書かれていないルールが多すぎるだけです。
店舗のDX
属人化は、店長の能力の問題ではありません。
紙に書かれていないルールが多すぎるだけです。
多店舗を持つ会社で、シフト作成の話をすると、必ず同じ言葉が出てきます。
「あの店は、店長じゃないと組めないんですよ」
本部から見ると、これは困った状態です。店長が休めない。異動させられない。辞めたら回らない。ところが店長本人に聞くと、特別なことは何もしていないと言います。両方とも本当です。
シフト表に現れているのは、時間と名前だけです。しかし店長は、そこに書かれていない条件を十数個、同時に満たしています。
これは唯一、文書になっていることが多い条件です。それでも「雨の日は少なくていい」「月末は多め」といった補正が、頭の中に入っています。
買取査定、レジ締め、鍵の開閉、資格が要る業務。「誰でもいい1人」ではなく「この人でなければならない1人」が、時間帯ごとに必要です。
新人とベテランを組ませる。逆に、同じ時間に入れない組み合わせもあります。理由は説明されないまま、店長の中だけにあります。
提出された希望には「本当は入りたくない日」が混ざっています。店長は、それを言葉にしないまま読み取っています。
シフト表は結果です。
判断は、どこにも書かれていません。
市販のシフト管理ツールは、よくできています。それでも導入した店舗が元の作り方に戻ることがあるのは、次の2つが起きるからです。
設定を、店長が自分で入れなければならない。必要人数、スキル、上限時間。忙しい店長が、これを全部入力して覚える時間はありません。結果として、機能の一部しか使われません。
スタッフ全員に、新しいアプリを入れてもらう必要がある。100人規模の店舗では、これだけで大仕事です。登録しない人が数人出た時点で、店長は結局、紙とスマホの両方を見ることになります。
自動化を検討するとき、多くの会社は「どこまで自動でできるか」から入ります。順番が逆です。先に決めるべきは、最後に人が判断する場所です。
条件を満たす組み合わせを大量に試すこと。人数の過不足を見つけること。上限時間を超えていないか確認すること。ここは人間より速く、間違えません。
誰を優先するか。今月は誰に多く入ってもらうか。険悪な組み合わせを避けること。最終決定は店長、という線を先に引いておくと、現場は受け入れます。
導入の判断材料としていちばん強いのは、機能の数ではありません。店長がシフト作成に使っていた時間が、何時間から何時間に減ったかです。
この数字は、導入前に測っておかないと出せません。ところが、ほとんどの会社が測っていません。「なんとなく大変」は、社内稟議では材料になりません。
測り方は単純です。次の3つを1か月分だけ記録します。
3つ目が、意外なほど大きいことがあります。シフト作成そのものより、作った後の調整に時間が溶けている店舗は珍しくありません。
一度に全部を変えようとすると、現場が止まります。順番はこうです。
第1段階だけで、店長の作業時間は大きく減ります。そして第1段階の数字が出てはじめて、第2段階以降の予算が通ります。