海外展開
海外の展示会に
出る前に決めておく三つ
名刺の枚数は成果ではありません。
成果が出るかどうかは、出発する前にほぼ決まっています。
海外展開
名刺の枚数は成果ではありません。
成果が出るかどうかは、出発する前にほぼ決まっています。
海外の展示会に出た企業から、同じ報告をよく聞きます。「反応は良かった。名刺も100枚以上もらった」。そして半年後、成約はゼロです。
これは運の問題ではありません。出る前に決めていないことが三つあるだけです。
展示会は不特定多数が通ります。誰でも歓迎すると、ブースは賑わい、名刺は増え、商談は一件も生まれません。
決めるべきは「業種」ではなく、もっと具体的な一文です。
「食品の輸入業者」
「高級スーパー向けに卸していて、日本産の棚を既に持っている輸入業者」
この一文があると、ブースの見せ方も、置く商品も、最初に聞く質問も変わります。そして該当しない相手に時間を使わなくなります。これが最大の効果です。
展示会の時間は有限です。3日間で本当に話せるのは、せいぜい20〜30社。100枚の名刺は、その20社を薄めた結果であることが多い。
名刺ではありません。持ち帰るべきは次の約束です。
具体的には、この三つのどれか。
「送ります」で終わらせない。いつまでに、誰が、何を見て判断するかをその場で決める。ここが決まらない相手は、興味が社交辞令です。
数量、納期、包装形態、必要な認証。これを聞き出せていれば、帰国後すぐ具体的な提案ができます。聞けていなければ、「ご検討ください」しか送れません。
オンラインで構いません。カレンダーに入った時点で、その相手は見込み客になります。入らなければ、名刺の束の一枚です。
ここが最も抜けます。
展示会の翌週、参加した社員は通常業務に戻ります。名刺はデータ化され、共有フォルダに入り、誰の担当でもないまま数か月が過ぎます。
決めるべきは三点です。誰が追うか。いつまでに最初の連絡を出すか。返事が来なかった場合、何回、どの間隔で追うか。
展示会の成果は、閉場から二週間の動き方で決まります。
海外の相手は、帰国後の連絡が遅いことを「優先度が低い」と受け取ります。会場での熱は、一週間で常温に戻ります。
この三つを決められないなら、その回は出ないほうがよいこともあります。
小間代、装飾、渡航費、人件費。合計すると数百万円になることも珍しくありません。同じ予算を、狙った20社への個別アプローチと訪問に使ったほうが、確度が高い場合があります。
展示会が有効なのは、自社がまだ知られておらず、現物を見せる必要があり、その業界のバイヤーが一箇所に集まるという条件が揃ったときです。そうでなければ、手段として重すぎます。
逆の立場も同じです。海外企業が日本の展示会に出るとき、最も多い失敗は「英語で商談できる人しかブースにいない」ことです。
日本のバイヤーは、英語が苦手でも来ます。そこで会話が成立しないと、相手は名乗らずに立ち去ります。名刺すら残りません。何社が素通りしたかは、永久に分かりません。
東京で株式会社コホマダを経営し、日本の県の海外ビジネス支援駐在員という公職を務めています。日本企業の海外展開と、海外企業の日本参入の両方に関わっているため、展示会で何が起きて何が起きないかを、出す側と迎える側の両方から見ています。